ついに爆買いブームに陰り

2018-02-26 14:20:49 admin 98

 中国人旅行客が日本国内でさまざまな商品を大量に購入する「爆買い」に陰りが出始めている。銀座や秋葉原などでは、大量の紙袋を両手に持って歩く中国人たちをよく見かけたが、最近はこうした光景も減っているように見える。


 中国メディアの環球網は19日、中国人による爆買いブームの陰りの背後にある理由について説明する記事を掲載している。


 記事は1つ目の理由として、越境EC(電子商取引)を利用すれば「中国人はわざわざ日本に行って、たくさん商品を背負って帰る必要がなくなった」と指摘。ある中国人女性は日本旅行でプレゼント用として大量の商品を購入したが、持ち帰るのが大変で非常に疲れてしまい、「商品はネットで購入できる。旅行は旅行そのものを楽しむべきだ」との感想を紹介。「理性的な中国人は今後、旅行は旅行として楽しみ、日本製品が欲しければ越境ECを利用するという形を取るに違いない」と論じた。


 また爆買いブーム陰りの背後にある別の理由として「代購者の減少」に言及。代購とは中国語で「代理購入」を指し、言わば転売を目的としたブローカー行為だ。記事は「以前は個人的に代購を行う中国人は旅行客に混ざって日本の百貨店やドラッグストアで商品を仕入れ、中国に郵送して稼いでいた」と紹介する一方、中国の税制の変更や代購者間の激しい競争により代購ではなかなか利益が得られなくなっており、そのため代購者が減少していると説明した。


 中国では2016年4月から個人輸入で日本から中国に持ち込む商品に対して、一定の量を超えた場合に一般貿易なみの関税がかけられるようになった。税制の変更は代購者の活動を抑制する大きな影響を与えたに違いない。


 また消費者向け越境ECが普及し始めていることも、爆買い減少の要因だ。経済産業省の調査によれば、2015年の中国の消費者による日本の事業者からの越境ECによる購入額は7956億円であり、前年比31.2%増となった。同市場は19年には2兆3359億円になると予想されており、越境ECを利用して日本製品を購入する動きは今後ますます増えていくだろう。爆買いの減少はこれまで中国人旅行客の集客に成功していた企業にとっては痛手だが、越境ECは地方の中小企業でも中国に向けて商品を販売できる可能性を秘めており、新たなビジネスチャンスと捉えるべきではないだろうか。